前回の更新で、アスペルガー症候群の特徴を触れましたが、
もうちょっと具体的に見たほうが良いと思いますので、
年齢別にどういった症状がアスペルガー症候群では出やすいのかという点でまとめてみます。
共通の障害としては、前回にも記載しました通り、『3つ組の障害』として、
「社会性の障害」、「社会的コミュニケーションの障害」、
「社会的イマジネーションの障害」があることを念頭に置いて見ていただければ、
より分かりやすいかなと思います。
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目次(Contents)
乳児期(0歳~1歳)
・少しの音にも敏感に反応する
アスペルガー症候群の乳児は、大きな音は勿論、静まり返った夜の小さな音や、
ちょっとした声も敏感に感じ取ります。
夜、やっと子どもを寝かしつけて、自分の時間が取れるかなと思い、ドアを締めた瞬間、
そのドアの閉めた音を子どもが敏感にキャッチし、泣いてしまう・・・とかですね。
また、当然ですが、騒がしかったり、人が多いところ(電車やデパート)に行っても
泣いてしまうことが多いです。
・ 興味があるものに熱中する
テレビやオモチャなど、一度に興味を持つと異常なほどに熱中したり集中します。
ADHDでもそうですが、アスペルガー症候群も同様に非常にこだわりがある特性を
持っています。
※管理人の子どもはアンパンマンのレゴブロックでした。それ以外にもアニメや本なども
見ますが、普通に数時間ずっと遊び続ける姿にはびっくりです。
・目を合わせない、笑わない
目を合わせようとしても、視線が合わなかったり、笑いかけても反応しないなども
アスペルガー症候群の特徴の一つとして挙げられます。
本来、親が目を合わせたり、笑ったりすると、乳児も真似をして(動作共鳴)笑ったり
するのですが、アスペルガー症候群の乳児はこの「動作共鳴」が苦手とされています。
幼児期(1歳~小学校就学)
幼児期になると、乳児期とは異なり、子どもが言葉を覚え始めますので、
会話から「この子はアスペルガーかも・・?」という判断がしやすくなります。
・相手の表情や場の空気を読み取ることができない
幼児期に空気を読めというのも難しい話ですが、普通であれば、最も近い存在である
母親の雰囲気に関しては子供とはいえ、多少は把握出来ます。
アスペルガー症候群の幼児はそれが出来ず、言葉ではっきりと説明しないと
理解出来ないため、子どもたちは勝手な行動をしてしまいます。
・説明を何度もしないと理解ができない
通常の幼児は、何度か同じ行動を繰り返しやる反復活動で、
「やってはいけないこと」や「言われなくてもわかること」を
親御さんに教えられつつ、時には怒られつつも、増やしていきます。
ですが、アスペルガー症候群の幼児の場合は、その都度、
毎回説明しなければ理解することができません。
いわゆる、「言わなくてもわかるでしょう」といったことが通じないので、
同じことを繰り返して叱られても、なぜ叱られているのか理解できないのです。
・一人遊びに熱中する
普通であれば、同い年や親しい年の子どもたちと一緒に遊び、他人との関わりを
持とうとしたりしますが、アスペルガー症候群の幼児は、他人への興味・関心が薄く、
独りでいることを好む傾向がある為、公園などで同年代の子が遊んでいていも
一緒に遊ぼうとしないことが多いです。
このような経験が積み重なって、アスペルガー症候群の方々は
他人との人間関係をうまく築けなくなっているという指摘があります。
小学生(6歳~12歳)
この時期になると、本人や家族だけでなく、周囲の方々も、アスペルガー症候群の子が
生活しにくくなっている事を見受けられるようになってきます。
・規則や法則性、ルーティンには忠実
学校の校則やきっちりと時間が区切られた活動に対しては問題なくこなすことが出来ます。
ただし、急な依頼や変更毎があると慌てたり、パニックになってしまう事が度々あります。
・特定の科目についてのみ、学習障害が現れる場合がある
アスペルガー症候群の前提として、「知的にも言語発達にも遅れがない」物を言いますが、
小学校に上がり、聞く、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を
学んだり実行することが困難となる、学習障害(LD)が併発する場合もあります。
気になる方は以前作成したセルフチェックシートでチェックすることをおすすめします。
・周囲の子ども達との協調が苦手
幼児期の「一人遊びに熱中する」の延長線上の問題の一つです。
普通であれば、同学年の小学生達と遊ぶことが増えてくるのが一般的ですが、
アスペルガー症候群の子どもは人の気持ちを理解することが苦手だったりしますので、
状況によっては、場違いな発言をしてしまい浮いてしまうようなことがよくあります。
そのため、今までしてきた一人遊びに没頭してしまい集団遊びが出来ないまま
成長してしまうことがよくあります。
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中高生(12歳~18歳)
思春期という多感な時期です。自分の事が周りに理解されないという自己肯定がされずに、
苦しむというパターンも多いです。
・学校に行きたがらない
小学校時代から、場の空気を読めず、周囲から普通とは違った人と思われ、
人間関係がうまくいかなくなったりして学校やクラスで孤立してしまう事があります。
この孤立感や疎外感、またはそこから発展した「いじめ」から
不登校になってしまうこともあります。
※不登校の原因としては上記以外にも、学業面での遅れもあったりしますので、
小学生からアスペルガー症候群の傾向が見られていた場合は、思春期時は特にお子さんの
様子をよく見て、変わったことがないかキチンと把握しておきましょう。
・友達作りが苦手
中学・高校は小学生とは違い、異なる学区からくる子ども達がほとんどです。
つまり、自分を理解している方がいない状態からのスタートとなります。
そのため、一度、友達のグループに入り損なうとなかなか友達が作れないまま、
過すこととなる可能性があります。
・学校での学習が困難
小学生と同様に、一部の科目に対して理解できずについていけなくなる学習障害(LD)が
発症する可能性があります。ですが、そもそもこの時期は科目の難易度も上がりますし、
範囲も広がるため、学習障害(LD)でなくても難しい為、どういった理由で難しいのかを
お子さんからヒアリングしたほうが良いでしょう。
また、逆に得意分野や興味のある科目に対しては、十分に理解が出来る為、評価され、
本人の強みが明確になってくる時期でもあります。
この頃に将来の夢やビジョンを一緒に描けるよう、学校や家族の理解、
指導が重要となってきます。
成人(18歳~)
・職場でのミスや人間関係でのトラブル
アスペルガー症候群特有の問題が浮き彫りとなります。
・対人コミュニケーションが苦手
・状況判断や臨機応変な対応、周りの人との協調の困難さ
・不注意やこだわりなどによる仕事上のミスの発生
・遅刻、スケジュール管理が上手く出来ない
また、職場での付き合い、上司との関係に悩んでしまうこともあります。
・二次障害を引き起こしてしまう場合がある
小さい頃から、自分の事を理解して貰えないまま成人してしまった場合、
うつ病になったり、パニック障害を併発したり、ひきこもりや家庭内暴力などの
「二次障害」を引き起こしてしまう可能性が高くなります。
こちらは状況に応じで、早めに支援機関・医療機関に相談するようにしましょう。
まとめ
アスペルガー症候群もADHDと同じく、完治するようなものではないため、
大人になっても続きます。ただし、症状の軽い重いはある為、人によっては苦労しながらも
社会に適応する方法を身につけ、なんとか問題なく生活ができるレベルまで
成長なされている方もいらっしゃいます。
そのため、重要なことは、早い段階からアスペルガー症候群のお子さんを
フォロー出来るような適切な環境を家庭や学校に作ることが大切です。
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