【発達障害】ADHD治療薬 ストラテラとは

ADHDの薬物治療として使用される薬の一つである、

「ストラテラ」についてご紹介します。


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目次(Contents)

ストラテラとは?

ストラテラは「アトモキセチン塩酸塩」という物質が主成分の薬です。

この薬は、脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリン)の働きを調節する作用を利用し、

ADHDの症状である不注意や多動性・衝動性を改善させることが出来ます。

コンサータと異なり、依存性や耐性(効き目が悪くなる)が認められず、

比較的副作用が少ない薬といわれています。

ですが、当然、副作用が全く無い訳ではないため、

薬を服用する前に、アレルギー症状の有無や心血管の障害、

褐色細胞腫または既往歴、閉塞隅角緑内障の有無、妊娠または授乳中、

他に薬などを使っているといった事柄を医師や薬剤師に伝え、

その指示に従って、服用するかを判断してもらうようにしてください。

※ストラテラもコンサータと同様に医師の診断が無いと購入は出来ません。

ストラテラのよる症状改善の仕組みについて

ちょっと専門的な話になりますので、

この手の話が苦手な方はこの項目は飛ばしていただいても問題ありません。

※ストラテラもコンサータと同様の動きとなります。ただし、主対象となる

 情報伝達物質がドーパミンからノルアドレナリンに変化します。

 そのため、コンサータの内容を理解している方も本説明を飛ばしていただいて

 問題ありません。

(出典:ADHDは薬物治療で治る? 薬の種類と特徴)

上図を例に説明します。図では「コンサータの効能」と書いてありますが、

動きとしてはコンサータもストラテラも大きく変わらないため、この図を使用しています。

一般的な方の脳神経細胞(いわゆるシナプス)は、シナプス(前)からシナプス(後)に向けて

ノルアドレナリン(シナプス間の白玉)の受け渡しを行い、神経伝達を行います。

ですが、ADHDの方の神経伝達は、動きとしては一般的な方と同じであるものの、

シナプス(前)からシナプス(後)間でのノルアドレナリン(シナプス間の白玉)の

受け渡しをする前に、ノルアドレナリントランスポーターという再取り込み口に

ノルアドレナリンが回収されてしまいます。

このことで、シナプス(前)からシナプス(後)間のノルアドレナリン濃度が下がり、

神経伝達が上手くいかなくなると言う流れになります。

この神経伝達機能が上手くいかないことでADHDの症状である、

多動性や不注意が発生してしまうと指摘されています。

ここでストラテラの働きに戻ります。

問題点は、ノルアドレナリン(シナプス間の白玉)の受け渡しをする前に、

ノルアドレナリントランスポーター(再取り込み口)にノルアドレナリンが

回収されてしまう事です。

ストラテラはノルアドレナリントランスポーターの再取り込みの働きを抑制し、

ノルアドレナリンがノルアドレナリントランスポーターに回収されないようにし、

ノルアドレナリンを(後)シナプスに流しやすくする、という効果があります。

この効果を利用して、ストラテラを服用することで神経伝達機能が向上し、

ADHDの症状である、多動性や不注意が改善するということです。

※コンサータもストラテラも、ドーパミンとノルアドレナリンという2種の

 神経伝達物質に対し、トランスポーター再取込み抑制機能を持ちますが、

 主に、コンサータがドーパミン、ストラテラがノルアドレナリンを

 担当しているという認識で問題ありません。


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ストラテラの服用について

ストラテラもコンサータと同様に子ども・大人共に服用可能な薬です。

医師の診断結果に従い、適切な量が処方される為、そちらに従い服用してください。

また、服用タイミングは以下とされています。

子ども:1日2回(朝・夕)

大人 :1日1回

ストラテラはコンサータと異なり、効果の持続時間が長く、24時間となります。

同様に、効果が出始める期間も異なり、服用し始めて1~2ヶ月掛けて効果が出始めます。

この1~2ヶ月掛かる理由としては、ストラテラは依存性はないものの、

一気に飲むと副作用が強く出てしまう薬である為、

少しずつ段階的に量を増やす形を取らないと(基本は3段階)身体に負担が掛かると、

判明している為、時間を掛けています。

ストラテラの副作用

副作用の症状一覧とその発症確率は以下となります。

子どもの副作用発症率:75.2%

症状 発症確率 
頭痛  22.3%
食欲減退 18.3%
傾眠 14.0%
腹痛 12.2%
悪心 9.7% 

大人の副作用発症率:80.4%

症状  発症確率 
悪心  46.9%
食欲減退 20.9%
傾眠 16.6%
口渇 13.8%
頭痛 10.5%

(出典:ストラテラ|独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

先に挙げた通り、依存性はありませんが、ストラテラもコンサータと同じように、

服用すればほぼ副作用が出るという前提で服用することをオススメします。

ですが、適切に服用すればストラテラは、コンサータよりも副作用が軽く済むということを、

キチンと覚えておきましょう。

主な副作用は、上記に有るように傾眠(うとうとする)、気持ち悪くなることによる

食欲低下、頭痛などです。

しかし、生活を妨げるほどではなく、2~3日程度で治まることが多いです。

また、上記の表にはありませんが、

極々稀に重大な副作用もありますので、その点はよく注意しておきましょう。

万が一、その兆候が見られたら、服用をすぐに中止して医師や薬剤師に相談しましょう。

1. 肝機能障害、黄疸、肝不全(頻度不明)
 →肝機能検査値の上昇を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、
  観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど
  適切な処置を行うこと。
  (例:身体がだるい、吐き気、嘔吐、食欲不振、かゆみ 白目が黄色くなる、
     皮膚が黄色くなる、尿が褐色になる、羽ばたくような手のふるえ等)

2. アナフィラキシー(頻度不明)
 →血管神経性浮腫、じんましん等のアナフィラキシーがあらわれることがあるので、
  観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う事。
  (例:身体がだるい、ふらつき、意識の低下、考えがまとまらない、ほてり、動悸、
    眼と口唇の周りのはれ、息苦しい、息切れ、じんましん、判断力の低下 )

まとめ

今回はストラテラについてまとめました。

ストラテラはほぼコンサータと同じ効用であるため、目新しさは余りありませんでした。

ストラテラも副作用の発症率が非常に高く、十分に理解した上での服用が

求められますので、ご注意ください。

薬だけではなく、心理社会的療法(ソーシャルスキルトレーニング)と

並行して実践し、相乗効果を狙っていきましょう。

また、当然ですが、ストラテラをはじめ、薬を服用することについて

不安や心配に思うことは、遠慮せずに医師に相談するようにしてください。


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